念願の、名古屋は有松祭りに行ってきました!秋季大祭は名古屋市文化財の三台の山車が町を練り歩くのが呼び物。山車を曳く男衆の熱気や上部のカラクリ人形の精巧でユーモラスな動きもさることながら、なんといっても私の興味は有松の3つの町ごとに男衆が競って作った見事な浴衣です。有松絞りの贅を尽くした素晴らしい着物を東町、中町、西町のそれぞれの男衆が粋に着こなしております。こんな豪華な浴衣を男衆がこぞって身につけてる姿は、もう溜め息ものです。
こちらは東町の緒川さん。これはお囃子方の浴衣だそうです。東町は今年から、新バージョンの浴衣を新調したそうで、みなさんパリッとしたおニューの浴衣に身をつつんでらっしゃいます。カメラをむける私に「ああ、邪魔でしたね」と慌てて避けようとする緒川さんに「いえむしろ山車より浴衣を・・・撮らせていただけませんか?」と図々しくもお願いすると、ポーズまでとってくださいました。バックショットも!
東町の山車方勢ぞろい。
腰に巻いているのは、豆絞り柄の手拭い。祭りの最中、この手拭いをポイポイと投げ、キャッチ出来たお客さんは嬉しそう。縁起物です。なんと私も一本頂きました!
こちらは中町の浴衣。貫祿です。藍もこれだけ贅沢に絞りがきいてると派手!背中に鯉と梅の絞りです!
中町、山車方。黄色に赤い梅背負ってます。
西町の浴衣。昔の呼び名で金龍町と書かれた将棋のコマの絞り。バックショットも。
西町の山車方さん。
山車3台そろいぶみ!
絞り会館で『手蜘蛛絞り』を実演中の本間とめ子さん。
7歳の時から絞りを始めて80年、というから現在87歳!でも本当にお元気、絞りの手元はスピーディー、そして次から次とユーモアを交えていろんなお話を聞かせてくれました。『手蜘蛛絞り』は400年前名古屋城が建ったころに最初に出来た唯一の絞り。それから沢山の絞り方が工夫され、一時は120種類もの技があったそうですが、後を継ぐ者が減り、今では80種くらいに減ってしまったそうです。この『手蜘蛛絞り』も継承するのは本間さんただ一人。「この会館に来て、私の隣で一緒に絞りの実演をしていた友達が翌日にポックリ死んじゃって。あたしもそういう風に逝きたいの」と明るく話していらしたのが印象的。「金さん銀さんも80才まで有松絞りの現役だったけど、あたしは80過ぎても現役」とまだまだお元気です。
出来上がった『手蜘蛛絞り』の布を撮らせて下さいとお願いしたら「じゃあコレを並べたら?ホラ分かりやすい」と本間さん、今括ったばかりの布を傍らに添えて下さって・・・なんだかそっちの方が嬉しくて、絞った布をアップにしてしまいました(笑)
手間と時間と心がこもったものが、本来の着物・・・何とかして後世に残してゆけないでしょうか。浴衣ブームがもっと洗練されて、買う人がそのよさに気づき、親子孫と何代も大事に着続けれらるような着物を広めてゆきたいです。
本間さん、この会館に来ると桜に必ず手を合わせてお参りするそう。日々感謝し、敬う心・・つい忘れてしまいがちですが、日常の中で信仰を持つこと、心を静めることは本当はどこいても誰にでも簡単に出来るはず。本間さんのような方とお話させて頂くと、いろいろなことに気づかされます。